飲食店の開業には、営業許可証の取得をはじめ、多くの届出・手続きが必要です。「何を」「いつまでに」「どこに」提出すればいいのか——手続きの全体像を把握していないと、開業日に間に合わなかったり、営業停止のリスクを負うことになります。本記事では、飲食店開業に必要な届出・許可証を完全チェックリスト形式でまとめ、申請の流れ、費用、注意点まで詳しく解説します。

飲食店開業に必要な届出・許可証の全体像
飲食店を開業するには、最低でも5〜8種類の届出・許可が必要です。業態や規模によってはさらに追加の届出が求められます。以下に必須の届出と、業態別に必要な届出を一覧にまとめました。
必須の届出・許可証一覧
| 届出・許可 | 届出先 | 費用 | 取得期間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 保健所 | 16,000〜19,000円 | 約2週間 | 最重要・これがないと営業不可 |
| 食品衛生責任者 | 保健所 | 10,000円(講習費) | 1日講習 | 調理師免許があれば不要 |
| 防火管理者選任届 | 消防署 | 7,000〜8,000円(講習費) | 1〜2日講習 | 収容人数30人以上は必須 |
| 個人事業の開業届 | 税務署 | 無料 | 即日 | 開業後1ヶ月以内 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 無料 | 即日 | 開業後2ヶ月以内 |
飲食店営業許可は開業の大前提です。内装工事の設計段階で保健所に事前相談し、基準を満たす設備(手洗い設備、換気設備、防虫設備など)を確認しておきましょう。工事完了後の検査で不適合となると、開業が大幅に遅れます。
業態別・追加で必要な届出

| 業態・条件 | 追加届出 | 届出先 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 深夜0時以降に酒類を提供 | 深夜酒類提供飲食店営業届 | 警察署 | 無料 |
| 客に接待行為を行う | 風俗営業許可 | 警察署 | 24,000円 |
| テイクアウト・デリバリー | 菓子製造業許可等 | 保健所 | 14,000〜16,000円 |
| 酒類の小売販売 | 酒類販売業免許 | 税務署 | 30,000円 |
| 屋外テラス席を設置 | 道路占用許可 | 道路管理者 | 自治体による |
| 看板を設置 | 屋外広告物許可 | 自治体 | 自治体による |
開業届出のタイムライン

開業3ヶ月前:事前準備
保健所への事前相談、食品衛生責任者講習の受講予約、防火管理者講習の受講予約を行います。内装工事の設計図面を持って保健所に相談し、設備基準を確認しましょう。
開業2ヶ月前:講習受講
食品衛生責任者講習(1日)と防火管理者講習(1〜2日)を受講。修了証は営業許可申請時に必要です。人気の講習は予約が埋まりやすいので早めに申し込みましょう。
開業1ヶ月前:営業許可申請
内装工事完了後、保健所に営業許可を申請。申請書類、設備の図面、食品衛生責任者の資格証明書を提出します。その後、保健所の立入検査が行われます。
開業2週間前:検査・許可証交付
保健所の立入検査に合格すると、約1〜2週間で営業許可証が交付されます。不合格の場合は改善後に再検査となるため、余裕を持ったスケジュールが重要です。
開業後1ヶ月以内:税務届出
個人事業の開業届(税務署)、青色申告承認申請書(税務署)を提出。法人の場合は法人設立届出書も必要です。
開業費用の内訳

| 費用項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可申請 | 16,000〜19,000円 | 自治体により異なる |
| 食品衛生責任者講習 | 約10,000円 | eラーニング対応の自治体も |
| 防火管理者講習 | 7,000〜8,000円 | 甲種・乙種で異なる |
| 深夜営業届出(該当店のみ) | 無料(書類作成費別) | 行政書士に依頼すると5〜10万円 |
| その他届出費用 | 0〜30,000円 | 業態による |
| 合計 | 約3〜7万円 | 行政書士に全て依頼すると15〜30万円 |
届出手続きは自分で行えば3〜7万円程度ですが、行政書士に依頼すると15〜30万円かかります。時間に余裕がある場合は自分で行い、浮いた費用をQRオーダーなどのIT投資に回すのが賢い選択です。
開業後に導入すべきITツール
届出が完了し、いよいよ開業。ここからは効率的な店舗運営のためのIT環境を整えましょう。開業時からITツールを導入しておくことで、人件費の削減と売上の最大化を同時に実現できます。
- QRオーダーシステム(注文業務の自動化・人件費削減)
- POSレジ(売上管理・在庫管理の一元化)
- 予約管理システム(オンライン予約・ノーショー対策)
- キャッシュレス決済端末(顧客利便性向上・会計効率化)
- 会計ソフト(確定申告・経費管理の効率化)
- Googleビジネスプロフィール(MEO対策・集客)
- SNSアカウント(Instagram・LINE公式アカウント)
よくある質問(FAQ)
飲食店の営業許可はどのくらいで取れますか?
申請から許可証交付まで約2週間が目安です。ただし、設備基準を満たしていない場合は改善・再検査が必要となり、さらに時間がかかります。内装工事前に保健所に事前相談することを強くおすすめします。
食品衛生責任者と調理師免許の違いは?
食品衛生責任者は飲食店営業に必須の資格で、1日の講習で取得できます。調理師免許を持っている場合は食品衛生責任者の講習は不要です。調理師免許は調理技術の証明であり、飲食店営業の必須要件ではありません。
届出を忘れるとどうなりますか?
営業許可なしでの営業は食品衛生法違反で、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。開業届の未提出は罰則はありませんが、青色申告の特典(最大65万円控除)を受けられなくなります。
法人と個人事業主、どちらで開業すべき?
年間売上が1,000万円未満の場合は個人事業主がおすすめです。手続きが簡単で、青色申告で最大65万円の控除を受けられます。売上が1,000万円を超える見込みがある場合は、法人化による節税メリットを検討しましょう。
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